事例: ホルムズ海峡タンカー攻撃・米イラン攻撃による原油急騰(2026-07-08)
判定: 部分的中(経路B=部分的中 / 経路D=的中〔発火は起点のみ・後段は未発火〕。株・為替のT+3は2026-07-13時点で未到来のため、T+3値の一部を追記予定)
1. イベント概要
2026年7月7日〜8日(JST)、イランがホルムズ海峡付近でカタールのタンカー等の商船を攻撃し、米財務省はイラン産原油販売の制裁免除(60日ウェーバー)を撤回。米国はイランへの攻撃を実施し、トランプ大統領が暫定停戦は「終わった」と表明した。停戦下で戦前水準まで戻っていた原油に地政学リスクプレミアムが再度織り込まれ、ブレントは終値ベース+5.2%(78.02ドル)、日中一時80ドル超えの急騰となった(カレンダー外の突発ショックのためコンセンサス予想は存在せず、サプライズ度は最大級)。
2. 事前想定(サイトの伝搬フロー)
原油 の「経路B: 供給・地政学経由(スパイク型)」: 中東有事・OPEC減産 →(数分〜数時間)→ ブレント急騰 →(同時進行)→ 金・VIX上昇 →(数日)→ 産油国通貨高=ドルカナダ下落 →(数週間)→ コスト増で株に逆風。
note: 銅が動かず金・VIXと同時に上がる原油高は供給ショック型=「悪い原油高」。逆引き診断のS5と同じ識別。
原油 の「経路D: 原油が動いた後の波及(通貨・日本)」: 原油上昇 →(数日)→ カナダドル高=ドルカナダ下落 →(並行して)→ エネルギー株上昇 →(数週間〜)→ 日本の輸入コスト増=円安 →(数ヶ月)→ 国内物価・企業コストへ。
note: 日本は原油をほぼ全量輸入するため、原油高×円安は国内インフレへの二重の押し上げになる。
3. 実測(基準=前営業日終値)
基準日=2026-07-07終値。T+0=2026-07-08、T+1=07-09、T+3=07-13(先物のみ電子取引セッション値あり。株・為替・VIXのT+3は米7/13市場が未了のため「—」)。
| 指標 | 想定方向 | T+0 | T+1 | T+3 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| ブレント原油(基準74.16) | 上昇(急騰) | +5.20% | +2.89% | +6.73% | ○ |
| 金(基準4145.3) | 上昇 | -1.79% | -0.35% | -1.84% | × |
| VIX(基準16.13・補助) | 上昇 | +4.77% | -1.80% | — | —(未発火) |
| ドルカナダ(基準1.4204) | 下落 | -0.26% | -0.29% | — | —(未発火・方向は一致) |
| S&P500(基準7503.85) | 下落 | -0.28% | +0.53% | — | —(数週間層・時期尚早) |
| エネルギー株XLE(基準54.64) | 上昇 | +1.76% | +0.33% | — | —(T+0は+1.76%と一時発火) |
| ドル円(基準162.36) | 上昇(円安) | +0.11% | +0.00% | — | —(数週間〜層・時期尚早) |
閾値: ブレント±2.0%・金±1.0%・VIX±10%か終値20超・ドルカナダ±0.5%・S&P500±1.0%・XLE±1.5%・ドル円±0.7%(market-diagnosis 変換表)。
4. 判定の根拠
- 経路B(供給・地政学経由): 部分的中 — 起点直後のブレント急騰は○(T+3累積+6.73%は閾値2.0%の3.4倍で「急騰」水準)。しかし同時進行を想定した金は逆方向に閾値超(-1.84%)で×、VIXは+4.77%(閾値±10%未満・終値16.9で20未満)にとどまり未発火。ドルカナダ(-0.29%)・S&P500(+0.53%)は数日〜数週間層で未発火。発火した2ステップが○と×で割れたため、的中(全○)でも破綻(×過半・起点直後×)でもなく部分的中とした。
- 経路D(原油が動いた後の波及): 的中(暫定) — 発火したステップは起点の原油(+6.73%・○)のみで「発火したステップが全て○」の的中条件を満たすが、後段(ドルカナダ・XLE・円安)は数日〜数週間層で全て未発火。実質的には「起点のみ確認・波及は時期尚早」であり、T+3追記時に再判定する。
5. 学び
- 原油スパイク自体(数分〜数時間層)は想定どおり最速で発火し、「中東有事→ブレント急騰」の型は再確認できた。銅を伴わない急騰という「悪い原油高」の識別も報道(供給懸念主導)と整合。
- 一方、「地政学ショック→金上昇」の安全資産反応は、高金利観測レジームでは金利経由で打ち消されうることが判明: 原油高→インフレ懸念→9月FRB利上げ観測が57%→67%に上昇→無利息資産の金が売られた(-1.84%)。伝搬フローの「同時進行: 金・VIX上昇」は金利環境に条件依存する。
- 相関レジーム注記の候補(descに足す一文の案): 「利上げ観測が強い局面では、供給ショック型の原油高でも金は『インフレ→利上げ観測』経由でむしろ下落することがある(2026-07-08事例)」。FR-C9(同型の破綻2件で提案)に従い、今回は候補の記録のみ。
- VIXが+4.8%どまり(終値16.9)だった点も示唆的: 株式市場はこの時点で地政学ショックを限定的な供給問題と解釈しており、リスクオフ全面連鎖(risk経路A)には波及しなかった。
6. 出典
- 原油急騰、WTIは72ドルを上回る-米国のイラン攻撃を受け(出典: Bloomberg)
- 原油バレル当たり80ドル突破、トランプ氏の停戦終了・追加攻撃発言で(出典: Yahoo!ファイナンス/Bloomberg)
- Oil prices rise after attacks on tankers in Strait of Hormuz, U.S. revokes Iran sale authorization(出典: CNBC)
- Oil surges as US strikes Iran, reversing return to pre-war prices(出典: Al Jazeera)
- Gold Holds Drop as US Strikes in Iran Cloud Rate-Hike Outlook(出典: Bloomberg)
- Gold drifts lower after Trump says deal with Iran 'over'(出典: CNBC)
- トランプ大統領、イランとの停戦は「終わった」と発言。それで米国株は急落、原油価格は急騰した(出典: Business Insider Japan)
本事例は検証記録であり投資助言ではない。